月に一度の大学病院。
母はパーキンソン病を患っていて、最近は父ひとりでの付き添いが難しくなりました。
そこで、介護タクシーで両親が出発し、私は現地で合流する形をとっています。
昨日は久しぶりにケアマネさんなしの通院。
「特に変化なし」というのは、この病気では“悪くない”ということ。
診察もあっさり終わり、ホッとしたのも束の間でした。
「トイレに行きたい」
母のその一言に、私は一気に緊張しました。
母は尿道カテーテルをしています。
つまり、尿ではなく便のほう。
在宅では看護師さんや父が対応してくれていて、
私は今まで便の介助をしたことがありませんでした。
けれど、母の「早くして」という切羽詰まった声に、
替えのおむつを確認する暇もなく、
車いすで使えるトイレへ急ぎました。
中に入ると、すでにおむつの中で済ませていて、
それでも「トイレでちゃんとしたい」と頑張る母。
私は慣れない手つきで支え、
おむつを外し、便座に座らせ、
お互い汗だくで、混乱の渦の中にいました。
手も足も汚れて、
どこをどう拭けばいいのか、カテーテルに触れないように気を張って…。
でも、そんな中で思ったのです。
――これを毎日こなしている父と看護師さんは、本当にすごい。
幸い、母は替えのおむつをきちんと準備していてくれました。
“さすが母”と思わず笑ってしまいました。
さらに、太もも部分がファスナーになった介護ズボンのおかげで、
カテーテルを通すことができて、なんとかおむつの替えも完了。
気づけば、トイレに入ってから一時間。
母も私も、ぐったりするほどの疲労感。
でも、その顔に少しだけ安心の表情が戻っていて、
私もほっと胸をなでおろしました。
外出先でのトイレ介助。
たった一度でも、どれほどの体力と気力を使うか、身をもって知りました。
そして改めて、毎日の介護を支えてくださる方々への感謝が込み上げてきます。
「お母さん、たいへんだったね。私たち、よく頑張ったね」
帰りに、母にそう声をかけながら、二人してクスっと笑いました。
私もまた、母からたくさんのことを学ばせてもらっているのだと感じました。


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