そして、胃カメラの検査を受けました。
噂では
「とても楽にできる」
「今は全然つらくない」
そんな話をよく聞いていたので、
正直なところ、少し好奇心すら持ってその時を待っていました。
実際の流れは、こんな感じでした。
まず、
ドロッとした、正体のよく分からないものを飲みます。
これがなかなかの存在感。
次に、鼻の麻酔。
左右それぞれ、間隔をあけて3回ずつ。
鼻の奥が、じわっと変な感覚になります。
その後、左肩に筋肉注射。
「ここまでで、もう結構な準備だなあ」と思いながら、
いよいよ、左の鼻から胃カメラ挿入。
入っていく時、
何度も「ゴクッ」と飲み込むように言われ、
何度も「オエッ」となり、
……誰だ、楽だって言ったのは。
……誰だ、オエっとならないって言ったのは。
……誰だ、麻酔が効いていて、あっという間に終わったなんて言ったのは。
心の中で、ひとりツッコミが止まりませんでした。
どうやら私の場合、
全体的に消化器官が細く、
特に十二指腸の入口が狭いようで、
胃カメラがなかなか進まなかったようです。
先生は
「少し出血してしまったので、これくらいにしておきましょう」
と言いながらも、
出したり、引いたり、角度を変えたりと、
胃カメラはくねくねと動き続け…。
痛いし、気持ち悪いし、
もう、これ以上は勘弁してほしい。
心からそう思いました。
正直、
「もうたくさん。二度としたくない」
それが終わった直後の、偽らざる気持ちです。
やっぱり、
経験しないと分からないものですね。
検査中はずっと、
「胃から出血していて入院になったらどうしよう」
「もし胃がんの可能性があると言われたらどうしよう」
そんなことばかりが頭を巡っていました。
だから、
「食道も、胃も、十二指腸もきれいですよ」
そう言われた瞬間、
体の力が一気に抜けました。
胃液は多い、とのことでしたが、
何はともあれ、大きな問題はなし。
自宅に帰れる。
そのことが、こんなにも嬉しいなんて。
やはり、健康が一番。
改めて、そう思いました。
同時に、
いつ、どんなことで健康を損なうか分からないからこそ、
備えておかなくてはいけないな、とも。
帰宅後、さっそく医療保険の見直しをしました。
そして、
安心したことと、
飲食を我慢していたことが重なって、
じわじわと食欲が戻ってきました。
いきなり脂っこいものはよくないので、
「飲む点滴」と言われる甘酒から始めて、
おうどん、豆腐、茶わん蒸し。
ひと口ひと口、
「ああ、おいしいなあ」と思いながら食べました。
やっぱり、
おいしいと思って食べられるということは、
それだけで、十分すぎるほど幸せなことなのだと。
そんなことを、しみじみ感じた一日でした。

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