精神障害者保健福祉手帳を取得して感じた親としての思い

発達障害

長男は数年前に「精神障害者保健福祉手帳(以下、精神障害者手帳)」の2級を取得しました。
そのときの私は、正直に言うと迷いや不安のほうが大きかったです。

「手帳を持つことでレッテルを貼られてしまうのではないか」
「子どもが劣等感を持ってしまうのではないか」

親として、そういう気持ちを拭いきれませんでした。
でも、主治医から「生活の支えや制度の利用につながりますよ」と背中を押していただき、勇気を出して申請することにしました。
今では、その一歩を踏み出して良かったと心から思っています。

手続きの流れと親の心境

申請の流れは、市役所で申請書をもらい、主治医に専用の診断書を書いてもらい、写真とともに提出するというもの。
交付されるまでに1〜2か月ほどかかりました。

ただ、待っている間も「この選択は正しかったのだろうか」と何度も自分に問いかけていました。
それでも実際に手帳を受け取ったときには、少し肩の荷が下りたような安心感がありました。

手帳を持つことで得られたもの

手帳を持つようになってから、生活の中でいくつかの支援を受けられるようになりました。

・公共交通機関の割引で通院が楽になった

・携帯電話料金や税の控除で家計が助かった

・就労支援の窓口に相談できるようになった

・美術館、博物館、映画館、テーマパーク、市営駐車場などで割引を受けられ、お出かけの機会が増えた

これらは単に経済的に助かるだけでなく、子どもと一緒に「行ってみよう」と思えるきっかけになりました。
親としても「障がいがあってもいろんな経験をしてほしい」という願いがあるので、利用できる制度をありがたく受け取っています。

親として感じるデメリットや難しさ

もちろん、良いことばかりではありません。

・2年ごとの更新で、診断書をまた用意しなければならない負担

・子どもが手帳を持つことに抵抗や劣等感を抱く可能性

・利用できるサービスが地域によって差があること

長男も、障害を受け入れるまでには何年もかかりました。

今も完全に受け止められているわけではありません。
それでも最近では、映画館に行くときに自分から手帳を提示するようになり、抵抗なく「恩恵を受けていいんだ」と思えるようになってきた姿を見て、親としてとても安心しました。

手帳との向き合い方

私は、「手帳は持っていても必ず使わなければならないものではない」と考えています。
必要なときに提示するかどうかは本人の自由。
利用してもしなくても良いのです。

だからこそ、怖がる必要はないし、持っていることで困ることもありません。
むしろ「障がいがあっても社会に参加してほしい」という国からのメッセージだと感じ、親としてもしっかりと利用させていただいています。

最後に

精神障害者手帳は、単なる制度ではなく、本人と家族が安心して暮らしていくための“支え”だと思います。

親としては、子どもに「守られている」という安心を感じてほしい。
そして、制度を上手に活用することで「できること」「楽しめること」が広がっていくのを見守りたい。

もし今、取得を迷っている親御さんがいらっしゃったら、どうか「必要なときに使える安心材料」として考えてみてください。
その選択が、きっとご本人やご家族にとって、新しい一歩につながるのではないかと思います。

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